夢の話。

目的があるわけでもないのに、なぜか私は地元である県南に向かう。
ショッピングセンターをうろつく。
雑踏が何やら騒がしい。なんとなく、彼らには懐かしい集まりがあるようだと察する。

そうこうしているうちに高校自体の友人であるミヤちゃんに遭遇する。
メガネだった彼女はコンタクトにして、少しお化粧をしておしゃれになっていた。

久しぶり、と言葉を交わしていると、さらにもう一人見知った顔が現れた。
小学校時代の......ナントカちゃんだ。なんだっけ。色黒で一重の目がくりりと大きく、ひょうきんな子だった。

あ、思い出した。ミキちゃんだ。

気づけばミヤちゃんは、ミキちゃんたちと一緒につるんでいたアヤカちゃんになっていた。
懐かしい人にいっぱい会うなぁと思い、ふと雑踏から聞こえてきたのは小学校時代の同窓会なんじゃ、と思い当たる。
ふたりはどことなく気まずそうにしているが、一緒に行こうと言ってくれるのでノコノコついて行く。

どこか広い個室のようなところのふすまを開ける。
アヤカちゃんとミキちゃんが三つ指ついて頭を下げるので私もそれに倣う。
部屋の中には小学校の同級生がたくさんいて、なんだこいつ、と言わんばかりの視線を私に向けている。

呼ばれてないんだけどきちゃいました、と幹事らしい男の人に言うと、構わないという返事。これはきっとお世辞だろう。
なんだこのずうずうしい女~って感じですよね、とおどけて言ってみる。
冗談が通じるフレンドリーさの演出、現状の把握能力のアピールのつもりだったが相手の反応は鈍い。
自己正当化しているようでまずかったかな、と反省する。

なんともう解散するところだったみたいで、一行はゾロゾロ駅に向かう。
電車があと5分で出るらしく、それに乗ってどこかへ行くんだそうだ。
私も行きたいが、荷物を施設内の少し遠くに預けていて、それを取ってからにしたい。
アヤカちゃんやミキちゃんに、5分で行って帰れるかな、と相談すると、まず無理だろうとのこと。
それでも一応チャレンジしたい、時間になって私が戻らなかったらそのまま置いていって欲しい、と伝えて私は走り出した。
すれ違う同窓に、もしかしたらさようなら! とおかしな挨拶をする。奇怪なものを見る視線が痛い。

結局私は行きだけで10分かかり、とりあえず荷物を受け取って、とぼとぼ歩き出す。
ショッピングセンターを出て自分の車に向かうと、小型車が近づいてくる。
なんとアヤカちゃんとミキちゃんが乗っていて、アヤカちゃんはあのころのように、みぃちゃ~ん! とハイテンションで私の名を叫んで手を振っていた。


その後はそのふたりと、同窓だという男の人ふたりと遊んだ。
というより、女子だけで遊んでいるそばに男子らもいる、みたいな。
途中からミキちゃんの存在はなかったことになっていた。さすが夢。

アヤカちゃんの運転でいろんな廃屋を見に行った。

最後に大きな白い布に願い事を書くということをやった。なぜそんなことをしたのかの流れは不明。
みんなで円座になり、私の向かいにいるアヤカちゃんがまず書いて、次に左隣りの男の人が書いて、私の番。
「猫 繁 殖」と書こうとして携帯電話で漢字を調べたがやめた。
(ていうかそれ言うなら「猫繁栄」とかじゃないのか、と起きてから思った)
43kgになりますように! と書きつけて笑われた。


あんまり痛い感じの夢っていやよね(´;w;`)


祖母宅? 母やその他家族と一緒にどこかにいる。
私の手首や太ももから白い糸――というより幅3mmほどの平紐のようだ――が出ていて、まるでほつれた裾から出たそれのように、するすると引き出せる。
耳から白い糸』という都市伝説を思い出して怖ろしいのであまり引き出さないようにしていたが、太ももの糸をなにかに引っかけてするるるるっと思い切り引き出してしまう。
糸はぴんと張って止まり、その根元の肉がずくんと痛んだ。
どうやらこれは内部につながっていて、引っ張ると痛いらしい。超怖い。

私は糸を根元近くでちょきんと切って、医療用の白い紙テープで皮膚に固定する。
母に是非病院に行きたい旨を告げ、最寄りの割と大きめの病院に連れて行ってもらう。

長テーブルを挟んで対応した医者は、整った顔立ちとは言えないが、パーツが大げさでひょうきんな顔つきをしていた。
その印象に違わず、何かにつけボケを挟まないと気が済まないらしく、それを咎める真面目そうな助手の男性との掛け合いはまるで漫才のようだった。

その医者いわく私から出ている糸は。血管、なのだそうだ。
蚊に刺されたりヒルに吸われたり(してないぞ!?)して傷ついた血管はやがて干からびて傷口から出てくることがあるらしい。
それって血が通わなくなったりしないのかしら新しい血管が張るのかしら、とそわそわする私に医者は、ほらこいつも、と助手の男性から伸びる糸を引っ張って見せる。

「割とね、全然、引っ張っちゃっても大丈夫なんですよ」

医者はするすると糸を引き出し、つんと最後まで引き出し終えて、

「ていうかひっこ抜いちゃってもいいくらい」

ずびーんと糸を引っ張った。糸は助手の男性から離れて医者の手元で揺れている。
その先には何か肉のように見えるものがぶら下がっているが果たして本当に引っこ抜いていいものだったのか。
しばしワナワナと震えていた助手の男性の思考が状況に追いついて少々暴力的な手段に訴えるのを医者は楽しそうに笑ってかわす。

助手の男性が処置のため退出した後、どれどれじゃあ一応一通り見ておこうか、と言いながら医者が席を立って脇にくる。
私も立ち上がり、すでに見せた手首の糸以外の足の糸などを見せる。
かがんで患部を見た医者は、本当に見るだけという程度で満足したようで立ち上がった。
そのままの距離で手もとのクリップボードを見せながら治療の説明をしてくれる。
クリップボードを覗き込もうと体を寄せると、医者の白衣から意外なほど石鹸の香りが漂ってきた。
身長153cmの私が見上げなくても済む程度の高さにある医者の顔を思わず見やって、この人はこのキャラで結婚しているのかしらと思いをはせる。


診療後、裏口のようなところから医者と助手の男性に見送られて退出した。

――そのはずなのにその後私はまた病院に戻っている。待合室。
家族と並んで座っていて、しかしその後私だけ席を譲って長椅子に移り、同席者がいないのをいいことに長々と寝そべる。
私の名前が呼ばれる。
私はいったい何の真似ごとか、お嬢ぶって返事をして しなりしなり歩いて行く。


そのあとのほうが変な医者よりよっぽど印象深かったはずなのに、覚えていない。


7月4日(木)

仕事帰りに買い物をして帰る。
要冷蔵品をしまおうと冷蔵庫を開け閉めして、ふと扉のポケットを見ると蜘蛛くん。
いったいいつ入ったんだ。
いったん閉めて、キッチンペーパーを片手に再び開ける。
しかしもう蜘蛛くんはいなかった。


7月5日(金)

朝食を用意するために冷蔵庫を開ける。
蜘蛛くんがいた。
さては凍えてお亡くなりになっているだろうと思ったら案外元気に動いていた。
庫外に出すと、ぴん、ぴん、と跳んで去って行った。


7月6日(土)

起き出してきてパソコンのスイッチを入れているとキーボードに蜘蛛くん。
キッチンからここまでたどり着いたらしい。
タイピングする時にうっかりプチンとやりたくないので、ふうふう息をかけて机の端に追いやる。
しかし気づけばまた近づいてくる。
パソコンモニタからティッシュケースへ。
ティッシュケースから机へ。
机からキーボードへ。
よく見れば移動した道筋に細い蜘蛛の糸。
おまえ、ぴん、ぴん、ってよく跳ねるけど、そういうところはさすが蜘蛛なんだな。と感心してみる。
跳ねる蜘蛛を調べて「ハエトリグモ」にたどり着く。
そうかおまえ、ハエトリグモくんなんだね。


7月7日(日)

姿が見えないと思ったら窓際の壁を徘徊している。
しばらくして床の上に脱ぎ棄ててあったスカートを拾い上げたらその下でキョトンとしていた。
うっかり踏みつけないよう床の上に散らばせていた衣類を拾い集めてついでに洗濯する。
蜘蛛くんは再びキッチンのほうへ向かっていく。
廊下の真ん中にいるものだから、危ないよと注意する。
蜘蛛に聴覚はあるのだろうか。ましてや知能なんて。


7月8日(月)

今日はルンバくんが出動する日。
まさか蜘蛛くんをすりつぶしてはいないだろうかと気が気でない。
仕事から帰ってきたらルンバくんが鉢植えをひっくり返して植物を蹂躙していた。
片付けて手を洗おうとキッチンの蛇口をひねったら、シンクから慌てて逃げ出すやつがいる。
蜘蛛くん、そこはさすがに危ないよ。
仕方がないので横着せず洗面所で手を洗う。

食後、蜘蛛くんの姿も見えないので食器洗い。
ざぶざぶやって、気づいたら水を張ったボウルのなかで蜘蛛くんが糸くずのようになっていた。
おまえ、いったいいつからそこにいたの?
なんとなく動いているようにも見えたのですくいあげてシンクに出す。
足がぴくぴくと動いているがそれ以上の動きがない。
急いでティッシュを持ってきて吸いつけるようにしたら、案外元気にティッシュにつかまって復活している。
ぴん、ぴん、と跳ねてこっちにきそうなので、慌てて玄関ドアを開けて外へ振り落とした。


初めて見たときからなんだかちょっと縮んだような姿を思い出す。
おまえのごはんなんてちっともいないのに、あんなにぴん、ぴん、動き回るから。
外の世界ではもう少し生きやすいだろうか。
それとももっと厳しいんだろうか。

小さな黒い糸くずみたいな姿を気にせず動く日々が戻ってほっとしたけど、
でもあとほんのちょっとなら、そんな日々が続いてもよかったかなって思うんだ。


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