2013年6月14日のエントリー 一覧

夢の話。


私は5人ほどの他人とどこかのビルにいる。
そのビルは22階建てで、私がいるのは20階。

手にはなぜかワイングラスを持っている。中身は透明な液体で、グラスを傾けるとジンと柑橘類の香りが鼻腔をくすぐった。

一緒にいる人たちは老若男女。繋がりは不明。
若くスラリとした黒髪ロングヘアの女性や、色が白くハーフのような雰囲気のやはりスラリとした男性がいる。

フロアの床はカーペット張り。
何かテーブルやらの家具が置いてあったようだが定かではない。
我々がいる場所の反対側を見れば、右側にエレベーターがあり、左側にドリンクバーがある。

ふと気付くとエレベーターからドヤドヤと人が降りてきた。
みんな我々が手にしているものと同じワイングラスを持っている。

彼らもまた老若男女入り混じっていて、異様なテンションで騒いでいる。
初めは陽気にハメを外しているという風だったが、そのうち何か狂気じみたものが混じり始める。

我々はエレベーターで脱出を試みる。
なるべく刺激しないようにこやかに人混みを抜け、エレベーターにたどり着く。
みんな乗り込んでいざ1Fへと扉を閉めたが、エレベーターは動かない。
誰かが外のボタンを押したためで、乗り込みたがるその人を我々は受け入れる。

しかしそれが繰り返されて我々は一向に移動できない。
外の喧騒はますます激しくなる。
まさか引きとめられているのではないかと一抹の不安が胸をよぎる。

「二杯目は別のものを飲んだほうがいいかもしれないな」

私の隣で、ハーフのような男性がふいに呟く。
見れば彼のグラスの中身は空になっている。

外では狂気の人々がドリンクバーで透明な液体をどんどん飲んでいる。
もしかしたらあの液体におかしな成分が入っているのではないかと私は思う。
彼もじっと黙ってグラスを見つめている。

エレベーターの扉がまた開く。
男。
しかし男は乗り込まない。
代わりに黒髪の女性を引きずり出す。
悲鳴、うめき声。そしてまた喧騒だけになる。

私は衝動的にグラスを壁に叩きつけて割ろうとする。
割れない。
彼のグラスも奪い取る。
一緒に叩きつけてようやく割れた。
もう遅いよ。彼は悲しそうな目で私を見ている。

私は彼にキスをする。
絡ませた舌はひんやりとしてジン・トニックの爽やかな味がした。
唇を離す。

「思いがけない人が、向こうからきてくれた」

彼は嬉しそうに言う。しかしその瞳はすでに狂気に侵されている。

私はジン・トニック味の唾を床に吐き捨てた。

掴みかかる彼の手を交わしてエレベーターの外へ放り出す。
彼の腰がグキンといやな音を立てる。

エレベーターの中の他の人たちも空のグラスを手に殺し合いを始めている。

私は彼らを始末した後エレベーターの外へ出てみる。
するとすでに狂気の人々はおらず、荒れ果てた室内に死体が転がっている。
彼の死体も。きれいな顔。上半身と下半身の前後がおかしい。腰がねじれて変に細くなっている。

目がパチリと開く。

「なんで......。僕は君を愛していたのに」

ずずずずと腕の力で這い寄ってくる。
血濡れになった黒髪の女性やその他の死体や肉片もむくむく動きだす。

私が背後を振り返ると、エレベーターの隣に灰色の扉があることに気付く。
そこは階段だった。
罠だろうか。
躊躇いは一瞬で、私はほとんど落ちるように階段を飛びおりた。

死体は追ってこなかった。
1Fの外に続くガラス戸が日光でまぶしい。

ガラス戸を押し開き、外へ出る。


私は生き延びたのだ。


そこで不意に蘇る記憶。
私はこの夢を以前にも見たことがあった。
(実際は不明。"同じ夢を以前見たことがある夢"という設定かもしれない)

これはゲーム。
出発点はこのビルの20F・21F・22Fのいずれか。
どの階から始まるかで共闘者やストーリーが変わる。

おそらくエレベーターでやってきたのは21Fの人ではないだろうか。

22Fは他の階とは雰囲気が違う。
飛行機のような座席にいるところから話が始まる。


以前22Fからゲームを始めた時の記憶をたどる。

私は黒髪ストレートヘアで、弁護士か何かの資格職の有能な女性。
隣の座席には50代ほどの男性。もしかしたら事務所の上司かもしれない。
私はまだ下っ端であることに少し不満を抱いている。

近くにもちもちした男性が座っている。(ビジュアルは現実の私の恋人である)
彼も私とは違う資格職。企業に属している。
資格職なのに雑用ばかりやらされている彼に私は共感を抱く。

その他にもちもち男の後輩とおじさん2人がこのゲームの共闘者となる。


そこからどうやってビルに行くのか、ゲームの結果はどうなったかは不明。


そのゲームの最も安全な攻略方法は、どのフロアから始まったとしても階段で22Fに上がること。
フロアには出ない。
階段の踊り場で、狂気の人々に見られないよう息をひそめる。
そして狂気の人々が21F・20Fから去ったころを見計らって階段で脱出すればいい。


今回もそれを覚えていれば二人で生き延びられたかもしれない。
彼のきれいな顔を思い浮かべ、私は黙とうを捧げた。


書きながら思ったけど、情熱的なキスした後手を伸ばしてくるって何か別の意味があったんじゃ......?
それを腰を一ひねりして殺しちゃうって、私のほうがよっぽど狂気的なんじゃ......?


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みみーず

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